トロンボーンで速く演奏する為には……
まずタンギングが重要です。
次に、スライドを速く動かすことも重要です。
ここでの”速く動かす”というのは音が出るポジションへスライドを速く動かすということです。
つまり、
スライドの動きを最小限できると、簡単に速い演奏をすることができます。
今回はスライドの動きを効率化する替えポジションの練習です。
替えポジションの把握
まずどこにどの音の替えポジションがあるのかを把握しましょう。
トロンボーンはスライド番号が1から7まであり、その数字が一つ上がると半音下がります。
なので普段使っている1番で五線譜上のFが鳴る倍音ですと……
この様にスライド番号が上がるにつれて半音ずつ音が下がっていきます。
他の替えポジションの位置は以下です。
替えポジションの練習
まずは替えポジションを使ってスケールの練習をしましょう。
初めのうちは替えポジションの音程が安定しにくいです。
これは単純に慣れていないからです。
普段でさえトロンボーンのほとんどの音は1から4のポジションで収まります。
その為、五線譜のDbやF#(5番ポジション)でさえ苦手な人は多いです。
そこから更に替えポジションを慣れないポジションで出すのは違和感が生じます。
なので一番シンプルなスケールから練習します。
7番ポジションは替えポジションでは使用しません。
腕を限界まで伸ばす7番ポジションを使うとスライドの移動が逆に遅くなってしまうからです。
以前にやった正しい音程で演奏する方法、チューンニングCDと合わせながらやるのがオススメです。
自分が替えポジションの練習をする際は、チューニングCDを使いながらタンギングの練習も一緒にしています。
実際の曲で替えポジションを使おう
替えポジションが使える様になると速いスケールの演奏が非常に楽になります。
上がEbメジャー、下がGbメジャーのスケールです。
とは言っても、
実際に替えポジションを使う場面、特にアドリブで演奏する場合はもっと慣れておく必要があります。
なので実際の曲でも練習しましょう。
オススメはボブ・ブルックマイヤー(Bob Brookmeyer)のThere will never be another youのソロです。
There will never be another you(ボブ・ブルックマイヤー)の耳コピpdf: https://isseiec.com/transcriptions
トロンボーンは速いフレーズになると、高い音を多用する傾向にあります。
これは高い音域の方がスライドの動きが小さくなるためです。
しかしボブ・ブルックマイヤーはバルブトロンボーン。
音はトロンボーンに近いですが、スライドトロンボーンではないため中音域を多用します。
これが替えポジションの練習に最適です。
替えポジションの組み立て
自分が採用する替えポジションの基準は2つです。
- スライドの動きを少なくする。
- スライドの方向転換を少なくする。
実際にボブ・ブルックマイヤー(Bob Brookmeyer)のThere will never be another youを例に替えポジションの組み立て方を見ていきます。
メロディ直後のソロ冒頭。
最初の小節でBbで5番の替えポジションを使っています。
こうすることで、
- スライドの動きが少なくなる。
G-Bb-C
4-“1”-3
→ 4-“5”-3 - スライドの方向転換を減らす。
F-G-Bb-C-Bb
1-4-(方向転換)-1-(方向転換)-3-1
→ 1-3-5-(方向転換)-3-1
他にもよく使うフレーズをパターン化するのも有効です。
これはスケールの例で一度出したEbメジャースケールのポジションそのままです。
スケールの一部を演奏することは多々あるのでスケールパターンはすぐに採用することができます。
他にもトライアドもよく出てくるパターンです。
Fメジャー、Eメジャー、Ebメジャー、Dメジャートライアドと半音ずつ下がっていっています。
There will never be another youはEbのキーなので、Ebメジャートライアドがソロでも多く出てきます。
替えポジションを活用しよう
初めのうちは戸惑うことも多いと思いますが、慣れてくるとアドリブの中でも自然と替えポジションが出てくるようになります。
すると中音域の速いフレーズもより簡単に演奏することができる様になります。